戦乱の炎に包まれた地元郷民が築いた防御施設

田中構（たなかがまえ）は叡山電鉄の元田中駅が最寄。百万遍の京都大学キャンパスからやや北側にある田中神社がその城跡と考えられます。

日本城郭大系には文明6（1474）年に田中郷の郷民達が築いたと親長卿記に記録されているとされます。
現地解説板にはもう少し詳細が記されており、応仁の乱の時期で、同年には西軍の攻撃を受けて炎上したとされています。

戦国期には土豪・渡辺氏が立てこもり「天文法華の乱（1536年）」で法華衆の攻撃を受けて再び炎上したとされています。

現在遺構は残らず、付近は京都市中心部から外れてはいますが、宅地化されてしまっており、往時を偲ぶものはほぼありません。田中神社の由緒書きに「田中構」についての説明がされているだけとなっています。石碑は設置されていません。

田中神社は歴史も古く、境内も広大で雰囲気はありますが、他に史跡の多い京都では観光に訪れる方も少なく、昼から静かな空間が広がっています。

街中の平城跡で、季節、天候に左右されずに訪問することが可能ですので、お城好きな方は近くに寄る機会があれば、一度訪問されてみてはいかがでしょうか。