室町将軍直轄の横大路衆の城館跡（1）

横大路城は日本城郭大系には紹介されていませんが、京都大学人文科学研究所・山下正男氏の「京都市内およびその近辺の中世城郭」に取り上げられている城跡です。

それによると、室町幕府直轄の軍勢である横大路被官衆の一つ小川丹波守の居城跡とされています。
飛鳥田神社に北接し、東側の堀は現存するとも記されており、それに照らすと横大路保育園あたりが横大路城の中心部になるかと思われます。そして地図上も明瞭に東側に水路が走り、現在の旧京阪国道に沿ってその一部をしっかりと目にすることができます。

石碑や横大路城にまつわる解説は、飛鳥田神社を含めどこにも存在しません。

現在は完全に平地になっていますが、「京都市内およびその近辺の中世城郭」によると往時は周辺より高台になっていたとされています。

この周辺はさらなる再開発も常に噂される一帯。史跡の宝庫京都市にとって、横大路城程度は保存の対象にもなってないのでしょうが、せめてこの残された堀と、あと解説板程度の設置があれば嬉しいのですが・・・

京阪国道を京都競馬場を越えて京阪淀駅までゆけば淀城があり、この横大路を経由して京阪中書島駅界隈まで行くと坂本龍馬らの幕末史跡が連なりますので、それらの散策に合せて、少し足を伸ばしてみてはいかがでしょうか？
城郭ファンの方にとってもマニアックな存在かもしれませんが、中世を生き抜いた武将の城館が横大路近辺にも存在していましたよ。