菟道稚郎子が葬られたと伝わる朝日山の城跡
京阪宇治駅前の交差点を渡り、山側に向って宇治川沿いを進んでいった先にある興聖寺(こうしょうじ)は鎌倉時代に開基されたとされますが、一時期、比叡山延暦寺の弾圧により廃絶に追い込まれていましたが、江戸時代初期に淀城城主の永井尚政により、現在の位置に移動して中興された寺院。
その興聖寺の裏山にあったとされているのが朝日山城。
この城は、日本城郭大系などには紹介されておらず、資料としては京都大学人文科学研究所・山下正男氏の「京都市内およびその近辺の中世城郭」に記されています。
ただ城主や、その時期などについては全く記されていません。
今もハイキング道が通っていますが、それが旧道で、朝日山城はその旧道を睨み下す役割を担っていたのではと推測されています。
現地には石碑や解説板のようなものも設置されていません。
山頂は開けていて、それなりの広さ。恐らくは本丸かと思われます。
山頂の五重の石塔は永井尚政によって建立されたものとされます。また、仁徳天皇の異母弟とされる菟道稚郎子(うじのわきいらつこ)が葬られたという伝説もあり、墓碑が設置されています(京阪三室戸駅近くに宮内庁管轄の古墳もあります)。
永井尚政が宗教的に重視した理由は、山本氏的には城があったことに由来するのではとありますが、個人的にはこちらの菟道稚郎子の伝説の地といったことが大きいのではないかと思います。
現在、城跡に通じるハイキング道は整備されているといっても完全な山道。
宇治市街に近い場所ですし、熊などの心配はありませんが、それでも蛇や蜂などの危険性はあるので、冬場の方が安全に訪問ができると思います。
あと足元はスニーカーよりも登山向きの靴の方が、より安全に城散策を楽しめると思います。
城の遺構は本丸の郭ぐらいしか明確なものはありませんが(それも城の削平地かは不明ですが)、文中で紹介したような様々な歴史ゆかりの地ですので、歴史散策としては楽しめる場所だと思います。
所在地
京都府宇治市宇治紅斉
新宿駅からのルート(※料金や所要時間は目安です。)
【JR新幹線】新幹線のぞみ 品川駅~京都駅 料金 片道13,910円 所要時間 約2時間10分ほど
【JR在来線】奈良線 京都駅~宇治駅 料金 片道240円 所要時間 約20分ほど
【入館料】0円