室町将軍直轄の横大路衆の城館跡（2）

当サイトで紹介させて頂いている城砦の情報の多くは、日本城郭大系を参考に回らせて頂いていますが、この富ノ森城は大系には紹介されておらず、京都大学人文科学研究所・山下正男氏の「京都市内およびその近辺の中世城郭」に取り上げられている城跡です。

城主名までは分かっていないようですが、室町将軍直轄軍（徳川幕府で言う旗本）の一つ、横大路被官衆の居城であったと考えられているそうです。

現在は畑となっており、じっくりと散策できませんが、南と西には堀が現存とあり、確かに地図を見る限り堀跡らしき水路が描かれています。畑内には土塁らしき窪みも確認できますが、それが城塞の名残であるかは自信が持てません・・・

すぐ近くには、同じ横大路被官衆の小川丹波守が居城とされる横大路城があったとされますが、そちらと同様に富ノ森城を示す石碑や解説板は設置されていません。

この周辺にはサッカースタジアムの建設計画などが常に持ち上がりますが、その開発計画が進めば、これら歴史上ほぼ無名の存在である城館跡はどうなるのか・・・心配です。

城郭大系に取り上げられていないことが要因と思いますが、京都の城館を紹介されている他の城サイトにも、この富ノ森城のことを紹介されているサイトはほぼありませんが、比較的近くには淀城などもありますので、それらの散策の際に少しだけ足を伸ばして横大路衆の城館跡も散策されてみてはいかがでしょうか。