記念碑のみが伝える国人鶏冠井氏の居館跡

阪急東向日駅と、西向日駅の中間地点ほどの位置に北真経寺があり、その裏手側にある公民館の前に標柱が立てられています。

鶏冠井（かいで）城は国人・鶏冠井氏の居館で、現地の標柱の説明にも「館を大きくしたようなもので屋敷とも呼ばれた」とあるので、規模としては小規模なものであったと思います。「野田泰忠軍忠状」では応仁2（1468）年に東軍に攻撃されたと記録があります。

「実隆公記」では大永7（1527）年には細川勝元の猛攻を受けて陥落したと、日本城郭大系にも説明がありますが、これ以上の歴史は現地解説板にもありませんでした。

周辺は特に軍事施設を作るのに適した場所とは現在は思えませんが、そもそも「土豪」よりも勢力の範囲が狭い「国人」級の中世武士の館ですからこのような物かもしれません。

また周辺は室町将軍の西岡被官衆が集中したエリアですから、そういった背景も攻撃方に対する抑止力になったのかもしれません。

とりたてて見所がある城跡ではありませんが、向日市、長岡京市には他にも中世武士達の居城・館が集中しているエリアなので、合わせて歴史散策を楽しめる街です。