大江広元の居館跡と伝わる八王子の名刹
京王高尾線の山田駅近くにある名刹「広園(こうおん)寺」は、寺社として東京都の史跡に指定されている名刹です。
この地に、平安時代末期頃に鎌倉幕府の創設に貢献した大江広元の居館があったという伝承があります。
後の時代、多くの武将が広元の末裔を名乗っていますが、中国地方で活躍した戦国大名・毛利元就で有名な、毛利氏もこの広元の末裔とされます。
大江氏館として、日本城郭大系では次のように説明しています。
「大江氏居蹟、広園寺の大門さきを云、このあたりに馬場と云所あり、馬立なりと云」と「新編武蔵国風土記稿」の中に記されているそうです。
しかし別史料の「武蔵名勝図会」では、大江氏が片倉城にいたことを示すのみで、大江氏館には触れられていないとのこと。
史料間によって情報がバラついていることや、他の史料もなくまた、遺構も残されていないため、伝承の域を出ないとまとめています。
現地の解説板には、「大江氏館」については一切触れられておらず、寺院として南北朝の頃の康応2(1390)年(※)に大江備中守師親によって開創されたとあるが、文献などが残っておらず明らかではないと記述されています。
「康応」は北朝が使用した元号で、南朝では「元中」を使用していた時代です。
天正18(1590)年の豊臣秀吉の「小田原征伐」でも兵火にあい、また江戸時代初期に再建されたものも焼失と繰り返し、現在の東京都に文化財として指定されている建造物の多くは、江戸時代後半に再建されたものだそうです。
南側に山田川が流れ、もし本当に大江氏の居館があったならば、これらも天然の要害として利用されたのだろうとは思いますが、正直「城郭」としての見所は石碑などもなく、ほぼ無いと言っていいと思います。
寺院としては先に触れた通り、貴重な遺構を残していますので一見の価値はある「城郭伝承地」として紹介させて頂きます。
所在地
東京都八王子市山田町
新宿駅からのルート(※料金や所要時間は目安です。)
【入館料】0円