東京郊外に明瞭な遺構を残す後北条家の城郭
小田急鶴川駅から南東に2キロ弱ほど歩くと沢谷戸自然公園があり、その裏山が城跡となっています。
三輪城または沢山(たくさん)城と呼ばれるこの城は現在荻野氏の私有地となっておりますが、ご好意で主郭の一部などが自由に見学することが可能です。ただし団体での訪問が禁止など、さまざまなルールがありますので、お城ファンの方には節度ある訪問をお願いしたいです。
城の歴史はあまり詳しくわかっていないようで、この荻野氏の祖先の方などが城主でなかったのか等の諸説があるようですが、少なくとも戦国時代は後北条家の支配化にあったようで、1590年の小田原の役では、この城の兵糧を小田原へ運送するようにとの北条氏照の書簡が残されています。
恐らくはその小田原の役の一連の流れの後、多くの北条系城郭のように廃城したのでしょうが、現在も往時の姿をよく残しています。
近くに熊野神社があり、その近くの登城口から登っていくと、小さな墓地などを脇目にまっすぐ主郭方面へ道が続きます。
二郭から主郭へ変わるポイントで「団体の方はお戻りください」などの案内板や簡単な柵で大勢では訪問できないようになっています。その柵の向こうには七面堂という小さな祠が建っており、その裏側が主郭となります。
ずいぶんと堀なども埋まっていますが形跡をしっかりと見ることができます。個人的には主郭方面から見下ろす三郭の姿がとてもキレイでした。
城の外周を歩くと東側に白坂横穴古墳群とよばれる史跡があり、その道は見通しの悪い、いかにも要塞であったことを伺うことができる場所。またその古墳を示す案内板に、かつてここが後北条家の沢山城であったことが記されています。
個人所有の山ですが非常によく整備はされているものの、決して歩きやすい道ばかりではないので、最低限の動きやすい格好での訪問は必須。また沢谷戸自然公園には「マムシ注意」の看板もありましたので、夏場の訪問は注意が必要なようです。
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鶴川駅から三輪城へ向かう途中にある東光院は天正(1573~1592年)の頃に開基されたと伝わる名刹。残念ながら訪問時は中に入れなかった(入り口を間違えただけかもですが...)ですが、見所の多い寺院とのことで、時間に余裕あればぜひ一度訪問されてみてはいかがでしょう。
所在地
東京都町田市三輪町上三輪
新宿駅からのルート(※料金や所要時間は目安です。)
【入館料】無料