住宅地に消えた、後北条家家臣の城郭

東急田園都市線の二子玉川駅から徒歩で7～8分ほど歩くと行善寺という寺社があります。このお寺は、後北条家家臣の長崎伊予守重光が開基したといわれています。この近辺にかつて、その長崎家が守る瀬田城があったと伝えられます。

残念ながら遺構と呼べるものは何もなく、近くのゴルフ練習場の玄関前に「長崎館」をしめす小さな石碑が、かつてこの近辺に長崎氏が居館を構えた名残をのこすのみです。

この長崎氏は豊臣秀吉の小田原攻め以降も、この地に名主として残っていったそうです。

行善寺自体も今は小さなお寺ですが、せたがや百景の一つで、古くから眺めもよく徳川将軍も立ち寄ったことがあるそうです。

何も遺構はないのですが、確かに駅から丘を登るのも急坂ではないのですが、ワリと高低差のある土地だということがわかりますし、かつてはこの地形をいかした天然の要害として、瀬田城は存在したのかもしれません。

多摩川を越えれば、そこはもう神奈川県の川崎市ですし、川崎の史跡や、また大井町線で九品仏までいけば、奥沢城などの史跡もありますので、世田谷、川崎の史跡めぐりの一環として散策されてみてはいかがでしょうか。