源義朝に仕えた金王丸一族の居城跡

JR・東急の渋谷駅の東側。渋谷警察などがある方向ですが、やや高台になっている場所に金王八幡宮が渋谷城の跡地だと伝わります。

渋谷城の歴史は日本城郭大系を参考にすると、八幡太郎の通称で有名な源義家が河崎基家に渋谷を与え、その孫にあたる金王丸（こんのうまる）が渋谷城の地で育ち、源義朝（頼朝の父）に仕え、義朝が平治の乱（1160年）に敗れ、敗走中に殺されると、自身は京都へ向かい僧となって主君を弔ったとされます。

その後も渋谷城は、金王丸の流れをくむ渋谷氏の居城として戦国時代まで続いたと考えられますが、大永4（1524）年に後北条氏2代目の北条氏綱が江戸城を攻略すると、渋谷氏も渋谷城を捨てたと考えられているそうです。
ただ廃城になった時期や、渋谷氏のその間の動向はわかっていないそうです。

日本城郭大系では、現在渋谷駅付近に流れる渋谷川が濠の役目を果たしていたと考えられ、現在の渋谷警察のあたりも濠だったとされます。さすがに、都会の城跡ですので遺構はほぼ残りませんし、往時の姿を想像することは容易ではないですが、方向的に同じ表参道へ向かう道中は坂道になりますし、また駅をはさみ逆方向の道玄坂も名のとおり坂道となっており、かつての渋谷は要害の地であったというのは分かる気がします。

境内ですが石碑は用意されていませんが、「渋谷城砦の石」と呼ばれるものがあり、ほかにも神社としての解説板に渋谷城のことが記述されています。

東京で生活されている方であれば、何がしか利用されることの多い街の一つだと思いますし、城として見所が多いわけではありませんが街中と思えないほど静かな場所ですし、お手軽な歴史探索に立ち寄ってみられてはいかがでしょうか。