「堀の内」の地名だけが根拠となっている城館跡

「大井氏館」としてよく、城郭サイトにとりあげらている当館。日本城郭大系では「大森堀の内」として紹介されています。

場所は京急梅屋敷駅の東側の住宅街の中になりますが、京急蒲田駅からでも十分訪問可能な距離。
まずは歴史背景を説明します。

新編武蔵国風土記稿に「東大森村に堀ノ内」という地名があり、それについて「谷戸宿（やとしゅく）より東の方にあり、此地に貝殻塚とて二ヶ所の塚あり、呑（のみ）川の岸にそひたる地なり」と、説明されているそうです。

全く武将などの名前も登場せず、「堀の内」という城館地にありそうな地名だけが頼りの城館伝承地で、その城主も「蒲田氏説」と、「大井氏説」と複数説あるようです。

参考にさせて頂いている日本城郭大系では「大井氏説」を有力としているようです。

この地に「城館」があったと推測されているのも地名くらいと説明させて頂いたとおり、遺構なども全く残されていません。

写真はその伝承地付近にある三輪神社ですが、この神社の由来書きには「堀の内」の由来として、「北条時頼の時代（1247～59）における陣屋の旧跡であるとも言われている」と触れられて、何がしかの武将の城館があったことを示唆はしていますが、石碑や城館としての解説板なども用意されていません。

正直見所は乏しい城館跡ですが、近くの蒲田駅に行くと、戦国時代に後北条氏の家臣だった行方氏の館跡などがあるので、合わせて訪問されることをオススメします。