石山合戦に本願寺勢力として参戦した寺城

サクラの名所としても知られる、福井県との県境にも近いマキノの海津付近には、この願慶寺城の他、海津西内城、海津東内城と3つの城があったと伝わります。

現在は願慶寺として解説板が用意されています。

解説板によると1570（元亀元）年に勃発した、織田信長と石山本願寺勢力による石山合戦で、本願寺側勢力として戦い、顕如からも賞賛された活躍があったとされています。その際に三浦衆（海津浦、今津浦、大浦の真宗門徒）を率いているとされますので、浅井・朝倉連合ともスクラムを組み、冒頭で触れた浅井側の海津の東西城とともに信長に対峙したものと想像できます。

遺構は残りませんが、境内にはさらに古く、木曽義仲の側室であった山吹御前にゆかりのある老紅梅が山門をくぐってすぐの所に残ります。

背後は福井県へと続く山となり、正面には交通の要所でもあった琵琶湖があるため、容易に往時の武将達もこの地を手に入れたかったことが伺える場所。

近くの海津西内城には江戸期に入ってからの石垣が残るほか、周辺は冒頭でふれたように、サクラの名所ですので、春先などにじっくりと散策してみるのも気持ちのよい場所です。

普段は日中でも交通量の少ない峠道の入り口にもなりますが、サクラの季節は交通量も増えるので車で訪問されるかたは、時期によっては注意が必要。また電車と徒歩で来られる場合は、一部歩道の狭い国道を歩くことにもなるので、雨の日などは注意をした方が良い場所です。

海津3城すべて巡ってみると、遺構はすくなくとも、それなりに満足感も得られた城跡群でした。