武蔵小杉にあったとされる小宮筑後守の居館跡

JR、東急の武蔵小杉駅の西側1キロもない位置の今井西町（現在市立今井中学校などがあります）付近に小宮筑後守入道重康の居館があったと新編武蔵国風土記稿に記されています。この小宮氏は「秩父次郎重忠の一族」とありますが、これはどうやら鎌倉幕府の重要御家人である畠山重忠を指すようです。

西北の位置、10キロほど先にある生田緑地には同じ畠山重忠の一族（従兄弟）で鎌倉幕府の御家人である稲毛重成が枡形山城を本拠にし、他にも今井館側の位置に作延城なども築いていたとされるので、この一帯が畠山氏の勢力下にあったと考えてよいのかもしれません。

しかし明確な築城時期や廃城の時期は記載されていませんが、戦国時代には近くの泉沢寺が後北条氏傘下に入った、室町幕府時代の名門家・吉良氏が支配し城郭寺院として機能したとされますので、今井館自体は消滅し、一帯も新興勢力の統治下にあったのでしょうか。

今井館の正式な位置は不明のようで、周辺も宅地化され遺構は全く残っていませんが、今井中学校のあたりを仮に今井館とすれば、やや北側に小宮筑後守を祀っている山王社があります。
また東側には小川が流れ往時は堀の役目を果たしたのではとも思えます。

再開発が進む武蔵小杉ですが、文中も登場した泉沢寺や、他にも徳川将軍の小杉御殿など歴史散策を楽しむことができる史跡も多い街です。

東京都心部からもアクセスのよい街ですので、天候、季節に左右されず、お手軽に訪問することができます。