鎌倉幕府御家人の糟屋有季の居館があったと伝わる城跡

日本城郭大系には糟屋左衛門尉有季（かすや さえもんのじょう ありすえ）居館跡として紹介されています。現地の解説板にも同様の説明がされており、鎌倉時代の築城とされています。場所は、現在の丸山城址公園と道路を挟んで隣接する高部屋神社付近だとされているようです。

糟屋氏は、武蔵七党の一つ横山党の一族で、源頼朝、頼家に仕え、義経の家臣・堀景光を捕らえたり、梶原景時の謀反で追討命令を受けるなど活躍した人物なようですが、後、建仁3（1203）年、比企能員（ひき よしかず）が反乱を起こすと、妻に能員の娘を貰っていた有季は共に戦い、それによって執権北条氏に攻め滅ぼされ自害をしたとされます。

近くの産能大学湘南キャンパス付近には、戦国時代初期に活躍した扇谷上杉定正の本拠、扇谷上杉館があったとされ、その当時には扇谷上杉氏の支配下にあったのではないかと考えられていると、現地解説板には記されています。城郭大系にも、解説板にも記されてはいませんが、恐らくはその後、後北条氏の城塞として、天正18（1590）年に豊臣秀吉によって、小田原征伐があるまで活躍したのではないでしょうか？

「糟屋館」として紹介されることも多いですが、当サイトでは城址公園の名称でもある丸山城として紹介させていただきます。

現在は今、触れたとおり丸山城址公園として整備されています。園内には一部ですが土塁や、堀跡などを確認することができます。また道路を挟んで高部屋神社まで散策されると、そこそこの規模を誇った城で、周辺が丘陵地帯になっていることも分かると思います。

この伊勢原駅周辺は城塞跡が多く、文中で紹介させて頂いた扇谷上杉館の他にも、三浦一族の岡崎城などがあり、東京都心部からも比較的アクセスもいいので、休日にブラリと歴史散策を楽しむのにピッタリな街。

ぜひそれらの城跡と合せて、この丸山城も訪問されてみてはいかがでしょうか。