鎌倉幕府討幕の際、足利尊氏と戦った近江の神社
現在、印岐志呂神社となっている境内に、建武2(1335)年、鎌倉幕府打倒に立ち上がった足利尊氏と戦うために、比叡山の宥覚が山門の義徒を率い、急ぎ城塞化し、実際に戦闘を行ったとされます。
日本城郭大系には伊岐代(いきしろ)城として紹介されています。尊氏との戦闘では一日で落城したとも伝わる伊岐代城がその後、戦国期にどのように利用されたかは説明されていません。
現地の神社の由緒書きには元亀3(1572)年に織田信長が、近江を治めていた佐々木氏を征伐した際にも戦火に見舞われたことが記されています。
すぐ近くには芦浦観音寺があります。観音寺は織田信長に接近し、この辺り一帯を抑えることになりますが、現地解説板にも、慶長4(1599)年に観音寺第九世詮舜が本殿を再建したことが記されています。
恐らくは織田政権、その跡を継いだ豊臣政権傘下の観音寺の影響を受け神社として以後は発達したものだと思います。
徳川家康の大坂の陣(1614年~1615年)出陣でも、この印岐志呂神社に勝利の祈願をしたことが記されていますが、芦浦観音寺と同様に戦国三英傑に関わりあい存続したことが分かります。
恐らく伊岐代城として存在したのは、足利尊氏と争った陣城としての一時期だと思います。
城塞としての遺構は残されていません。
また伊岐代城としての石碑や、解説板は設置されていませんが、文中で紹介させて頂きましたが、由緒書きには陣城として利用された歴史が記されています。
最寄り駅のJR守山駅からはかなり距離がありますので、天気の良い日に、駅に隣接する「レンタサイクル駅りんくん守山店」で自転車を借り、すぐ近くの芦浦観音寺などの城跡と合せて散策されると楽しめる一帯だと思います。
所在地
滋賀県草津市片岡町
新宿駅からのルート(※料金や所要時間は目安です。)
【JR新幹線】新幹線のぞみ 品川駅~京都駅 料金 片道13,710円 所要時間 約2時間15分ほど
【JR在来線】東海道本線 京都駅~守山駅(新快速停車駅) 料金 片道500円 所要時間 約25分ほど
【入館料】無料