長尾景春の乱に登場する川崎市の城塞跡

東急東横線の新丸子駅が最寄になりますが、東側にしばらく行くと日枝神社があり、その付近が城跡と伝わります。

関東管領の山内上杉氏の家宰・長尾影信が死去すると、家宰職は弟の忠景が継ぐことになり、これに不満を覚えた影信嫡子の景春は1476年に鉢形城（埼玉）で反旗を翻します（長尾景春の乱）。

関東の有力豪族も巻き込んだ一連の戦いでは、石神井城（東京）の豊島氏なども加わり、鎮圧にあたっては扇谷上杉氏方の名将・太田道灌が活躍。

石神井城や同じ東京の平塚城を落城させられた豊島氏は、横浜にある小机城に立て篭もり、この際、豊島氏残党が入ったのがこの丸子城（丸子陣屋とも）だと伝わります。

豊島一族はその後、歴史の表舞台からは姿を消しますので、この城（陣屋）もその後、城塞としては利用されなくなっていったのでしょう。（日枝神社自体はさらに歴史が古く平安時代の創建とされるようです。）

現在の日枝神社は、再開発が進む川崎・武蔵小杉エリアでもありますが、静かな場所。
ただ、住宅地として完全に宅地化されており遺構や、丸子城に関する石碑、解説板のようなものは残念ながらありません。

地形的にも平坦で（管理人のように、関東以外の地方の方は、横浜神奈川エリアというと、海のイメージが強いと思いますが、案外、山も多い地形なのです。）、すぐ隣に多摩川が流れる以外は城塞を常設しておくような場所にはやはり思えないですし、一時的な陣屋として利用されたというのが正しいような気がします。

見所は正直少ない丸子城ですが、周辺の武蔵小杉エリアは、徳川将軍家の小杉御殿や、名門吉良一族ゆかりの泉沢寺など案外、歴史散策を堪能できる街でもあります。

市街地でどこも遺構を楽しむ場所もないですが、季節や天候に左右されず、いつでも気ままに歴史探索ができますので、合わせてこの丸子城あとにも立ち寄られてみてはいかがでしょうか。