佐々木六角氏が築城した総石垣造りの中世山城跡
JR安土駅の東側にそびえる繖(きぬがさ)山に日本100名城の一つ観音寺城跡があります。駅前にレンタサイクルがあるのでそちらを利用すると便利です。
主な登城口は二つ。観音正寺コースと桑実寺コースですが、舗装されて整備されているのは観音正寺ルート。桑実寺コースは本堂脇の登山道を登りますが、桑実寺の拝観料として300円が必要です。こちらも遊歩道として整備はされていますが、多少歩きにくい箇所もある山道です。こちらは直接本丸へ繋がっていきます。
観音寺城は応仁・文明年間(1467~87)に佐々木六角氏が築城・居城としたと日本城郭大系では説明されています。
応仁の乱の頃はまだ小規模だったと考えられる観音寺城は、西軍の六角高頼は劣勢になるたびに籠城したと伝わります。
時は流れて享禄年間(1528~32)に、足利12代将軍・義晴を庇護するという大義名分を得て、大改修を行い天文年間(1532~55)の初期の頃に一旦完成したと考えられるそうです。
その後も鉄砲の時代に備え改修が行われ、難攻不落を誇ったとされますが永禄11(1568)年に織田信長が上洛する際の通過を拒否したことで攻撃され、戦わずして信長の手に落ちたとされます。
城はそのまま使われることはなく廃城になったと考えられ、同じ山伝いにある安土山に天正4(1576)年に信長は安土城を築城することになります。
訪問時は往路は観音正寺ルート、復路を桑実寺ルートで散策。そのルートだと本丸に入る直前左手から回り込むと、趣のある石段が迎えてくれます。
本丸は一見すると見所が少なく感じますが、さらにその奥から下に下るような道があり、そこを降りると平井丸になります。この付近は写真でもよく見かける場所で、見事な総石垣造りの城跡を堪能できます。平井丸は郭内に墓が点在し、少し不気味な空間にも感じました。
平井丸から落合丸、さらに池田丸にいたる一帯は現在比較的ラクに見学できるエリアでは、最も見所のある場所ですので間違えて本丸から、すぐに桑実寺の方に抜けていかないように注意したいです。
その一帯はいたるところに石垣が残り、また山伝いという意味では隣接している安土城のように整備がされていないため、なんとも言えない哀愁感が漂い中世の山城らしさを醸し出しています。
城内はお世辞にも歩きやすいとは言えないので、履物だけは動きやすいものは選びたいです。残念なのは100名城に選定されていますが特に城内の散策ルートなども少なく、また観音正寺にはスタンプはありますが、縄張り図などもなく滋賀県としてもあまり力を入れていないように見受けられるところ。訪問時期は完全な山中になるため、やはり冬場が適していると思います。
とにかく城域は広大で、管理人も実際に見学したのはその一部しかすぎないため、また機会を作り訪問をしてみたいと思います。中世山城ファンは必見の城跡だと思います。
所在地
滋賀県近江八幡市安土町石寺
新宿駅からのルート(※料金や所要時間は目安です。)
【JR新幹線ひかり】品川駅~米原駅料金 片道11,860円 所要時間 約2時間10分ほど
【JR東海道本線】米原駅~安土駅料金 片道400円 所要時間 約25分ほど
【入館料】0円(桑実寺コースの場合300円の入山料が必要)