南北朝時代に南朝の拠点として活躍した城郭寺院

JR浜松駅の西側、道なりに1.5キロほどの鴨江寺（鴨江観音）が鴨江城の跡だと日本城郭大系には説明されており、戦前まではそれを示す石碑があったようですが、現在は残念ながら見当たりません。

鴨江城の築城時期は不明だそうですが、大宝2（702）年には鴨江寺は存在し、比叡山延暦寺と対立しそのため、僧兵を擁する城郭寺院だった可能性があるそうです。

南北朝の時代には南朝側方として、後醍醐天皇の皇子である宗良親王の拠点のひとつとなったそうです。「瑠璃山年録残篇裏書」に暦応2（1339）年（延元4年）に鴨江城が落城したことが記されており、これが確かな史料に残る唯一の鴨江城についての記述となっているそうです。
この際に鴨江城を攻撃したのは北朝・足利尊氏方の高師泰、師冬らだそうです。

その後、鴨江寺を城郭として利用した事実があるのか等も不明のようです。現在の鴨江寺は歴史ある寺院ですが建物は比較的近い時代のもの。カラフルな旗等が特徴的です。

鴨江寺の公式サイト には鴨江城の記載が見えますが、現地には石碑や由緒書等にも鴨江城の名前を確認することができなかったのは残念。

鴨江城はこの近くで一番有名な浜松城があり、他にも電車で移動すれば様々な城郭が比較的近くに存在しています。
ぜひ浜松周辺の城散策をされる際に、それらを優先されて空いた時間に浜松駅から徒歩でも迎える城ですので、合せて回ってみられてはいかがでしょうか。

鴨江城はやや浜松市中心部から外れてはいますが、周辺は開発されていますので季節、天候を問わずに気軽に訪問することが可能です。