武蔵七党の末裔が暮らした大宮の居館跡
大成館は新幹線停車駅であるJR大宮駅が最寄駅になります。現在は普門院となっており、周辺は完全に宅地化されてしまっています。
日本城郭大系にも取り上げられており、室町時代初期の築城とされ、金子駿河守家光の居館だとのみ記されています。普門院自体も家光の開基だそうです。
他の城サイトを拝見させて頂くと、この金子氏は平安時代末期から室町時代あたりにかけ発展していった「武蔵七党」と呼ばれる武士団の一つ「村山党」の流れを汲む一族とのこと。金子氏は同じ埼玉でも入間を本拠にしたそうなので、この家光はその分家になるのでしょうか。
金子氏による大成館がいつ頃まで存続したかは定かでありません。戦国時代には普門院も荒廃していたそうですが、江戸時代に入り、徳川幕府が始まると、その旗本・小栗忠政の居館となりました。
かつては堀なども残されていたという普門院ですが、おそらくはその小栗氏時代に改修された遺構が残されていたのでしょう。
現在は冒頭でも触れたとおり、政令指定都市さいたまの中心部にあり、完全に都市化・宅地化が進んでおり、往時を偲ばせてくれるものはほとんど残されていません。しかし、こういった館跡の場合、遺構もない、石碑もないというケースも少なくないですが、この大成館は立派な石碑が用意されているのは、城ファンとして少し嬉しくなりますね。
2014年3月、予定していなかったのですが、急遽大宮のカプセルホテルに宿泊する機会が出て、その翌朝東京へ向かう際にこの大成館に寄ることができましたが、実はかつて東京在住時代、東京都青梅市の今井城に訪問した際、事前の勉強不足で金子氏の居館跡がすぐ近くにあったにも関わらず、未訪問になってしまったことがありました。
今回、入間の金子館に訪問したわけではありませんが、同属の大成館に予定外で訪問できたこともきっと何かの縁でしょう。個人的には境内に咲く早桜も楽しめ、城館としての満足度は高くはありませんが全体的には満足の高い城巡りになりました。
場所も大宮駅から近いですし、駅からずっと都会の道を歩けるので、あまり季節や天候に左右されず、お手軽に訪問できる首都圏の城館跡です。
所在地
埼玉県さいたま市大宮区大成町
新宿駅からのルート(※料金や所要時間は目安です。)
【入館料】0円