中世の今川氏側の城砦跡に造られた江戸末期の陣屋跡
堀江陣屋は浜名湖に面した舘山寺(かんざんじ)温泉の一帯に存在した中世の城跡で、その跡に江戸時代の陣屋が築城されたものです。現在旅館「堀江の庄」前の駐車場入り口に「堀江陣屋」の木碑が建てられています。佐田城という呼び名だったとも考えられるそうです。
日本城郭大系には「堀江城」として紹介されており、それによると貞治年間(1362~1368)に大沢基久が築城したのが始まりとされます。初めは遠江守護の斯波氏に仕えた大沢氏ですが、今川氏の台頭により今川氏親の代に今川傘下に入ったとされます。
天文13(1544)年、今川義元が大沢治部少輔に検地の増分を与えた史料があるらしく、これをもって正式に今川氏の一武将になったとするそうです。その後、義元死後、永禄12(1569)年に徳川家康にかつての主君だった今川氏真が攻撃された際、この堀江城の当時の主・大沢基胤(もとたね)が今川最後の砦となり戦ったことで、堀江城の要害ぷりが後世に伝わったとされます。
その戦いでは大沢氏は家康に降伏し、家康の旗本に鞍替え。以後、大沢氏はこの地を治め続け、幕末には陣屋を構え明治維新まで存続したそうですが、その明治元(1868)年に領地の虚偽申請で3,500石であったのに、1万石の大名として堀江藩が成立しますが、この事実が発覚し、大沢氏は華族を除籍されたそうです。
中世の堀江城は恐らく遊園地のある山が城跡でしょう。背後を浜名湖とした城はいかにも戦国時代に重宝されそうな地形。ただ残念ながら堀江陣屋や、堀江城の遺構は観光地として開発されてしまっており何も残りません。
唯一、冒頭で触れた木碑があるのみですが、正直このテの「幻の城」って、「ここいらにあったらしい」という場所を歩くのみで終わってしまうことが多いので、この木碑があるだけでも「充実感」を感じることができますね。
舘山寺温泉へ訪問する機会のある城ファンの方!
こんな観光地にも城跡は眠っていますので、どこに行っても旅を何倍も楽しむことができますね!
所在地
静岡県浜松市西区舘山寺町
新宿駅からのルート(※料金や所要時間は目安です。)
【JR新幹線】新幹線ひかり 品川駅~浜松駅 料金 片道8,290円 所要時間 約1時間20分ほど
【遠鉄バス】浜松駅~舘山寺温泉行き 料金 片道550円 所要時間 約50分ほど
【入館料】0円