後北条氏が小田原の守りに築いた箱根の名城
日本100名城の一つ、山中城はJR三島駅から東北方面に当たる箱根に向う最中の山中に築かれた戦国時代の後北条氏の城郭です。
まずその歴史ですが、日本城郭大系によると、後北条氏の2代目、氏康が永禄年間(1558~1570)に小田原城の備えとして築いた「箱根十城」の一つとして重要な役割を担ったとされます。
豊臣秀吉による小田原征伐を受けた際には、重臣の松田康長や、玉縄城主だった一族の氏勝等が山中城の守備を任されました。
山中城は小田原城の守りという軍事的な性格が強い城郭だったため、後北条氏にとって危険が迫った天正17(1589)年には大改修が行われたと「関八州古戦録」に記述され、その中に岱崎出丸を新たに設け、その改修は落城する翌年まで続いていたとされます。
運命の天正18(1590)年、豊臣秀吉は小田原征伐を敢行。
山中城には豊臣秀次(後の2代目関白)が中村一氏、山内一豊、一柳直末らを率いて3月29日に攻撃開始。最初、岱崎出丸が攻撃対象になりますが、後北条氏の必死の守備により、豊臣方の武将・一柳直末が鉄砲によって討死するほどだったとされます。
しかし、数に勝る豊臣軍は岱崎出丸を落とすと、中村一氏が陣所を置き、結果半日で山中城は落城したと伝わります。後北条方では松田康長ら多数の武将が討死をしたとされます。
現在、三の丸に宗閑寺が建立され(城内の諏訪神社から一度東海道へ出て、山道を少し下った位置にあります)、後北条方、豊臣方の戦死者達の墓があり、その霊を弔っています。
山中城に三島駅から向う場合、管理人のように公共交通機関で訪問される方は、東海バスを利用することになりますが、その際伊豆鉄道の三島駅前にあるバスチケット販売所で「みしまるきっぷ」を買っておくと大変お得です。
バスは本数が少ないため特に夕方に予定される方は、帰りの時刻を必ず確認するようにしてください。
三島駅からバス停に着くと、右手に岱崎出丸があります。訪問した時は休業日でしたが売店もあり、ここに100名城のスタンプやまた縄張図も入手できるそうです。余談ですがトイレはこの売店横を利用されるのがオススメ。男性用の個室も洋式で山中の城と思えない清潔さです。
山中城と言えばなんといっても、後北条氏特有の築城技術が大変よく残されていること。以前、神奈川の河村城の畝堀を見学しましたが、はるかに凌ぐ遺構の規模は言葉を失います。また西の丸を取り巻く障子堀は圧巻。これは写真でもよく紹介されていますが、実際の遺構をぜひご覧頂きたいと思います。
もちろん、畝堀や障子堀だけでなく見所満載のまさに名城。城内は一見ゴルフコースのように整備されていますが、やはり遊歩道などは自然そのものですので、虫や爬虫類などの危険も少ない冬を中心とした時期の訪問がベストではないかと思います。
100名城の名に相応しい素晴らしい遺構を堪能できる戦国時代の山城です。
近くのオススメすぽっと
三島駅南口のほぼ正面にある中華料理屋「のあき中華飯店」さん。典型的な町の中の中華屋さん。こういう素朴な雰囲気がすきなので大満足。中華丼と餃子で旅の疲れを癒させていただきました。
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三島駅南口東側の「天然温泉 富嶽の湯 ドーミーイン三島」さん。その名の通りの温泉付きのビジネスホテル。部屋もキレイで城めぐりの疲れを癒すのにピッタリの宿です。
所在地
静岡県三島市山中新田
新宿駅からのルート(※料金や所要時間は目安です。)
【JR新幹線】新幹線こだま 品川駅~三島駅 料金 片道4,520円 所要時間 約50分ほど
【沼津登山東海バス】元箱根方面行き 三島駅5番~山中城跡 料金 往復900円(みしまる切符を事前に購入すると安く乗車可能) 所要時間 約30分ほど
【入館料】0円