賤ヶ岳七本槍の平野長泰が秀吉から授かった地

近鉄田原本駅の東側、田原本（たわらもと）町役場付近が田原本陣屋の跡とされ、西側（駅側）の広場の隅にその解説板が設置されています。

田原本陣屋は日本城郭全集（大系の前身的な資料）によると、国民郷土記に「田原本平城、田原本兵蔵」とあり、田原本兵蔵の居城であったとされます。

この田原本平城のあった地を豊臣秀吉から授かったのは、天正11（1583）年の秀吉と、柴田勝家の「賤ヶ岳の戦い」で目だった戦功をあげた、いわゆる「賤ヶ岳七本槍」の一人だった平野長泰。

長泰は関ヶ原の戦い（1600年）では東軍につき戦後も徳川方の旗本として存続。ただ「大物」の豊臣方の武将であったものの「大名」格にはなれず、この陣屋も城とは認められなかったそうです。
しかしこの平野氏は他の「七本槍」衆。特に福島正則などの筆頭格が徳川政権後、改易処分なども受けましたが、幕末まで田原本を統治し、明治新政府によって田原本藩と格上げされ廃藩置県を迎えたそうです。

残念ながら遺構は残されておらず、田原本駅から田原本町役場にかけては市街地として整備されており、往時の面影を感じるのは難しい状態です。

城跡としての見所は決して多くありませんが、近くの浄照寺には伏見城の城門が表門として移築されているなど、見所のある街なので、じっくりと歴史散策をしながら合せてこの田原本陣屋にも訪問されることをオススメします。