中世の城塞跡に伝わる古墳時代の陵墓伝説

近鉄尼ヶ辻駅の西側にある安康天皇陵が城跡推定地とされます。
安康天皇（あんこうてんのう）は古墳時代の天皇で在位期間など詳細はよく分かっていないとされます。

安康天皇自身は当時の朝廷の内部抗争の中、暗殺され今の天皇陵に葬られたと伝わりますが、この場所には少なくとも帝はお眠りになられていないと近世の研究によって新説が出てきています。

日本城郭大系ではわずか1行程度の紹介ですが、室町時代初期から知られる、宝来氏の城跡だと明記されています。

他の方の城サイトなどを参考にさせて頂くところ、宝来氏はもとは大和の有力豪族である筒井氏に仕えた一族で、最後は松永久秀が大和に侵攻してきた際、この宝来城も落城したそうです。

現在の宝来城ですが、まず訪問時、陵の敷地内も立ち入り禁止となっていました。その由緒書には宝来氏についての記述は全く触れられていません。

ただ北側から陵墓を見ると、明らかに陵には似つかわしくない中世の土の城としか思えない、空堀や土塁が目にとまります。

安康天皇の真偽はともかく、この陵が中世においてなんらかの軍事拠点として利用されたであろう痕跡は十分に見て取れます。
しかし残念なことに宮内庁の管轄となっていますので、外周から判断するのみ。
石碑なども全く設置されていません。

周辺は開発されており、基本季節や天候に左右されない場所だと思いますが、あまり誰も訪れない場所なのか、秋に訪問しましたが頭上には数多くのジョロウグモが巣を張り、さらに空堀の写真を撮っていると、足元でなにやらゴソゴソと・・・

多くのスズメバチがいたのです・・・
街中の平城ではありますが、気をつけて訪問してください。